口腔内プロバイオティクスM18株

オーラルフローラの改善

オーラルケアにおける口腔向けプロバイオティクスが、歯周病の予防や、悪玉菌の過剰な増殖抑制においてとても有用であることが、近年さまざまな研究成果をもとに示されつつあります。
我々が開発したStreptococcus salivarius K12株は、口腔内のフローラバランスの改善にとても有用で、その結果、健康維持においてさまざまな効果があることが示されています。
近年、K12株の効果をさらに補強するためのとても有用なプロバイオティクス、Streptococcus salivarius M18株の開発に成功しました。
つまり、K12株を開発の後、K12株の効果をさらに高めるためのアプローチとして、虫歯の抑制に効果が期待できる新しいS. salivarius株のスクリーニングを行い、M18株の選択に至ったのです。

M18株はStreptococcus mutansStreptococcus sobrinusの増殖を阻止することや、さらにその他の有害菌の増殖をも阻止することがわかったのです。
M18株のより詳細な性質を理解するために、M18株の全ゲノム配列の解析を行った結果、M18株は、4種類ものバクテリオシン、A2、9、MPSそしてM、を産生していることがわかったのです。
つまり。M18株の広い抗菌活性は、これらの多くのバクテリオシン産生によるものであることが確認されたのです。

M18株の抗菌作用

M18株は、多くのバクテリオシンを産生するため、Actinomyces viscosus, Actinomyces naeslundii, Streptococcus agalactiae, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis, Listeria monocytogenes, Haemophilus influenzae, Staphylococcus saprophyticus and Staphylococcus cohniiなどの口腔内の悪玉菌に対して強い抗菌作用を示すことがわかりました。
M18株のこれらの広い抗菌作用は、虫歯の発生抑制につながる可能性があるとして、その効果に期待が持たれています。
バクテリオシンA2と9に関しては、Streptococcus pyrogenesや他の上皮気道感染に関連するバクテリアに対する抗菌作用を示しますが、虫歯関連菌であるS.mutansに対する抗菌作用を示しません。

一方、M18株が産生するサリバリシンMPSはS. pyrgenesに対する抗菌作用を示すため、K12株が有効でない菌種に対しても広い抗菌作用を示すことから、虫歯菌に対する抑制効果が期待できるのです。
さらに、M18株を用いた27日間にわたる子供に対する予備的効果判定試験において、口腔内のS. mutans菌のレベルを減少する効果があることが確認されています。
また、M18株が病原性菌によって誘導される炎症性のサイトカインの発現にどのような役割を果たすのかを調べるために、M18株とK12株を一緒に混合して、歯周病細胞と一緒に培養して各種サイトカインの誘導性を評価した結果、Porphyromonas gingivalis, Aggregatibacter actinomycetemcomitansそして Fusobacterium nucleatumによるIL-6やIL-8などの炎症誘導を抑制することが確認されました。
つまり、K12株に加えて、M18株も同時に利用することで、口腔内の炎症の発生を抑制する可能性が得られたのです。このように、M18株は多種類のバクテリオシンを産生することで、口腔内の悪玉菌の抑制を行うばかりでなく、免疫的調節作用により、過剰な炎症の発生を抑制するため、理想的な口腔内プロバイオティクスなのです。